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高森明勅
2010.8.29 13:14

友の一周忌

神奈川県厚木市にある日蓮宗満星山「戒善寺」で友人の一周忌があった。

癌が発見された時は、既に末期。

直ちに告知を受け、カウントダウンが始まった残り僅かの余生を淡々と、懸命に生きた。

身体に穴を開け、そこから抗がん剤などを流し込みながら、殆ど苦痛や動揺の表情を見せず、以前と変わらぬ様子で、事務仕事の勤務をギリギリまで続けていた。

彼は普段、決して大言壮語するタイプではなかった。

ただ時折、やや時代がかった台詞だが、昔の兵隊さん達の苦労を思えば……みたいなことをボソボソ喋っていた。

こんな台詞が出るあたり、どちらかと言えば変人の部類だったかも知れない。

しかし、その言葉を彼は遂に裏切らなかった。

昨年の葬儀に参列した時、静かにそう思った。

一周忌を迎え、遺されたご母堂は、相変わらず頭脳明晰、記憶もしっかりとして、終始多弁で気丈に振る舞っておられた。

だが、そのことがかえって、自分より早く我が子を失った老母と、この母を遺して幽界に旅立った友の悲しみを、より際立たせているように感じた。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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